【完】君に惚れた僕の負け。
心配いらないよ。朱里くんはブラックが飲めないなんて、あたしにとっては一般常識。
「そのコーヒーもうお砂糖いっぱい入ってるよ。あ、ミルクもいる?」
「ガキ扱いすんな」
「だって好きでしょ?」
「……好き」
「ふふ、あたしも!」
「……はぁ」
ミルクを注いで。完成。
あ、せっかく作ったカフェオレを一気飲みするなんて……!
「もっと味わってよ」
「恋々の分際でいちいちケチつけんな」
「反抗期だなぁ……」
小学生のころまではただ優しい子だったのに。
中学入ってからとげとげしくなったよね。
でも大人の前でだけはずーーっとぶれずにぶりっこ……いや、ヨイコのふりをしてたっけ。
「なんで朱里くんって、パパやママの前とあたしの前で態度が違うの?」
当たり前のことすぎて、長年流し見てきたことをなんとなく聞いてみた。
「そんなの自分のために決まってんだろ」
「え?」
がたっと立ち上がった朱里くんは、「無い脳みそで考えてみれば」とあたしの頭をがしっと掴む。