【完】君に惚れた僕の負け。
ほっぺが落ち続けているうちに空っぽになったお弁当箱。


蓋を閉じたら、朱里くんの顔が浮かんできた。


――あの顔。

きらきら女子にむけてたあのだらしない顔。



朱里くんは、彼女もいたことあるし。
女たらしだし。


デートくらいいっぱい経験あるんだろうな。

エスコートとかしちゃうんだろうな。



……っ、なんでこんなにむかむかするんだろう。



「あたしもデートしてみたい」



――きゅ。

お弁当箱を巾着にしまうと、



「デートしたいの?じゃあ俺とする?」


ふうちゃんのお茶を飲み込みながらの提案に、いったん動きが止まる。



「ふうちゃんと?いいの?」



首をかしげると「別にいいよ」だって。



「人生初めてのデートだ……」



わぁ、ちょっとこれはめったに無い体験になりそう。


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