【完】君に惚れた僕の負け。
リビングに行くと、朱里くんはいなかった。
もう寝ちゃったのかな。
そう思いながらフェイスパックを顔に貼り付けてパック開始。
ソファに座ってテレビのバラエティを見ながら笑っていたら、ガチャとドアがあいて。
「うわあああああ」
朱里くんの叫び声に飛び上がった。
「なに!?」
「その顔なんだよ……まじで心臓……、はぁ……」
「そうだった……!」
はずかしいー!
と叫びながら顔を覆い隠した。
「さっきから、何?服選んだり、そんなもん顔に貼り付けたり……」
朱里くんが神妙な面持ちで歩み寄る。
「あのね、実は……あたし、人生初のデートをすることになったの!」