【完】君に惚れた僕の負け。
「むかつきすぎて、噛みたくなった」
うそだけどね。
好きすぎて、噛みつきたいの。
「なにそれぇ……」
「明日のデート、そんなもんつけてたら行けそうにねーな」
「え?」
その間抜け面もたまんないんだよね。
「喉にキスマークつけてるとか、淫乱すぎぃー」
ベーっと舌を出す俺に、恋々は血相を変えて叫ぶ。
「きっ、きききききキスマーク……!?」
飛び上がる勢いで驚いてんね。
飛べんじゃないの。
「断ってよ。明日のデート」
「え、でも……」
「そんなにそいつが好きなの?」
「いや全然……好きとかじゃないよ。あくまで、練習……」
「意味不明。デートってのはね、好きな人とするもんなの」
柔らかいウェーブの髪をすくって、キスをおとす。
「う……うん」
真っ赤な顔がコクコクとうなずく。
ねぇ、ちょろくて流されやすい恋々ちゃん。
よく聞いて。