【完】君に惚れた僕の負け。
「それってだれ……? 朱里くんって好きな人いるの!?」
目隠しの手を取り上げて、がばっと顔をあげたら、朱里くんはにこやかに遠い目をしていて。
「朱里くん?」
首を傾げると、ゴツンとゲンコツが落ちてきた。
「いったぁい……なんでゲンコツするの!」
「自然な流れだな」
「あ、不機嫌モード」
っていうか、あたしだって不機嫌になりそうなくらい、もやもやするなぁ。
朱里くんに好きな人か……。
「なんかさみし……」
ぐつぐつ沸騰してきたカレーを混ぜる。ぐるぐる。