【完】君に惚れた僕の負け。
「ただいまぁ~」



玄関にはいると、家は煌々と電気がついている。



朱里くん、帰ってるんだ。



今まで気づかなかったけど、玄関でそろえられている朱里くんのスニーカーをみると、胸があったかくなるんだ。



そして、蘇るあの会話。




『あたしのためってこと? 』


『それでいーんじゃないの?』




じわりと熱くなった胸。……何かがこみあげてくる。



「ただいまっ」



もう一回そう言いながらリビングに小走りで入って、いつも通りソファでテレビを見ている朱里くんに飛びついた。



「うわぁっ!……っ、なんだよ!」


「なんとなくっ」


「離せ、バァカ!!」




べしっとおでこを叩かれた。


「痛っ」


ひどい……。


< 194 / 421 >

この作品をシェア

pagetop