【完】君に惚れた僕の負け。
湯気の立ったスープを冷まさずに口に運ぶ恋々。
「あちっ!」って、ほらやけどした。
「ばか。舌みせてみ?」
ためらいなく、べ、と出された赤い舌。
ちょっとは恥ずかしがればいいのに。
「大丈夫。なんもなってないよ」
医者じゃないから知らねーけど。
「よかったぁ」
俺=男って意識が足りなすぎんだよね。
なんだと思われてんだろ。
「朝ごはんは3回目の失敗だけど……これから練習するから!」
意気込みながらスープをふうふう冷ます。
もし狙ってやってんなら狙い通りの可愛さ出てるよ。
俺相手に狙うわけねーけど。
「じゃあしっかり練習してよ。俺のために」
「うん、頑張るね」
「……素直かよ」
気が抜けるわ。
「だってあたし、朱里くんのお嫁さんだもんね」
冗談言ってぷぷーっと笑ってるとこ悪いけど、それ滑ってるし。
さむいし、
おもしろくもないし。
ああもう。
……か わ い す ぎ か 。
「ごちそうさま」