【完】君に惚れた僕の負け。
――ぺろ。
気になって仕方ない、その垂れかけのアイス、溢れる前に舐めてあげる。
「風にあたるとアイスってすぐ溶けんの。知らねーの?」
恋々の親指に垂れたアイスを舌ですくうと、あいつの頬は次第に赤らんでいく。
いいねぇ、その顔。
「……あま」
にやり、俺が笑うと、今までフリーズしていた恋々が慌て始める。
「ひっ、人のとらないでよ。……朱里くんのは、あっちに……」
よく聞こえないな。
「ほら溶けるよ。食べないの?」
至近距離で見つめるだけで、こんな真っ赤になるくらいちょろいのにね。
「ほら口開けて。あーん」
いつの間にかアイスを握ってるのは俺。
恥じらいたっぷりで、控えめに口を開ける恋々。
そんな表情、春よりは成長したじゃん?
……まじでいい眺め。
「あ」
チョコアイスが、恋々の唇の横にべちょっとついた。
「ちゃんと口開けねぇから付くんだよ」