【完】君に惚れた僕の負け。
ねぇ、恋々。
俺のこといい加減、年下扱いしないで。
つーかお前、たった3日違いなこと忘れんな。
そんで性別も違うってこと、頭にやきつけといて。
「俺、ネクタイの締め方がわかんなくて困ってんだよね」
この、ストライプの入った深緑のネクタイ。
「あたしから入学祝い、使ってくれるんだ……!」
嬉しそうに顔ほころばせてないで。
「ネクタイ結んでよ」
かがんで、視線を合わせると、火照ってくる恋々の頬。
でもこれっていうのは、別に俺だから意識してってわけじゃなくて。
……ただ男慣れしていないだけ。
このポンコツが。
「そそそ、そ、そんなのできないよ。ていうか近すぎぃ……」
どもりすぎぃ。
「いつも自分の結んでるのにできないってどういうこと? この一年間なにをしてきたの?」
「な……っ」
「はぁーあ。恋々なら頼りになると思ったのにな」
この言葉はある種の起爆剤。
恋々の“年上”というプライドに火をつける。
たった3日のくせに。