【完】君に惚れた僕の負け。
……懐かしい夢を見たなぁ。
【お姉さんになる】ことを決意したあの日を境にあたしは、
【年上のしっかり者】を意識して朱里くんと接するようになったんだよね……。
「恋々、家の鍵忘れてる」
「あっ、ほんとだ。ありがとー」
助かったぁー。
と、そんなこんなで今日から2学期です。
夏休み中は友達と遊んだりもしたけど、ほとんど朱里くんと一緒だった。
ずっと一緒にいるのに全然飽きなかったって結構すごいよね。
学校に着いて早々、
「よ!恋々!」と現れたのは憎むべき人間失格、ふうちゃん。
彼は軽々しく私の肩を叩いた。
「祭りは悪かったな!」と。
それからふうちゃんは遠慮なしに、あたしの肩に重心をのせてきたの。
これはチャンス。
隙を見て一気にしゃがんでやる。
「うわ!」
よろけたふうちゃんを薄目で睨みながら、あたしは言わせてもらうよ。
「ドタキャンする人は人間失格だから」
「そうそう俺、人間失格。でも恋々だって前に俺とのデートの約束、ドタキャンしなかった?」
「……はっ!」
ハッとしすぎてそのまんま声が出ちゃった。
「ご……ごめん。ほんとだね」
「まぁ祭りとはわけちがうかぁー。でも美人と知り合っちゃったら、そんなの迷わず美人選ぶだろー」
「……」
ぜったいに許さない。そう誓った時。