【完】君に惚れた僕の負け。
「悪いことしたから、恋々ちゃんにこれあげる」
差し出されたのはペンギンのマスコット。
「こんなもので……」
許せるものですか!
でも。あたしとしたことが。
愛くるしいペンギンのその表情に目が留まってしまった。
「か……かわいい……」
いじわるっぽく笑うこのペンギンからにじみ出る愛嬌がたまらない……。
「な?恋々絶対気にいると思ったんだよ」
ふうちゃんがニッと笑ってあたしの手のひらにペンギンをのせた。
「お詫びです。すんませんでした」
ぺこっと頭をさげられたら、そんなの……。
「……許、す。ていうか、なんでこんな好みド直球なもの選べるの?」
軽い人って経験値が違うのかな。
「“朱里くん”に似てたらいいかなって思って結構探した」
「朱里くんに……あ。ほんとだ!似てるー。可愛い」
両手に座る小さなペンギンを思わず抱きしめた。
二年生のクラスはこんな感じ。
のほほんほのぼのと時が過ぎるんだけど、朱里くんたち一年生は二学期初日はテスト三昧なの。
大変だろうなって他人事みたいに思いつつ、学校が終わった。
家でひとり、お昼ご飯を食べて、ベッドに倒れる。
なんてぐうたら……しあわせ。