【完】君に惚れた僕の負け。
リビングに戻ってきた朱里くんは見るからに疲れていて、ばたっとソファに倒れこんだ。
「模試だけでそんなに疲れたの?」
「力仕事の雑用にこき使われたんだよ」
「へぇ……だからそんなにへとへとなんだ。待ってて、大急ぎでご飯作るね!」
さぁ、がんばるぞ!
意気込んで米を取り出した時だった。
「あっ」
あたしの手からお米を入れた容器がすり落ちていくスローモーション。
――ッ、ジャ――。
最低な音がキッチンに響いた。
「あぁぁ……こぼしちゃったぁー!」
お米二合分ぶちまけて、あたりはすっかり白い海。