【完】君に惚れた僕の負け。



朱里くんちは久々で、朱里くんのパパとママとおしゃべりはとっても弾んだ。

そんな湯上がりの帰り道。

夜空に浮かぶ星を朱里くんと見上げる。



「楽しかったー」

「よかったね」

「朱里くん、もしかしてたまにお家帰りたくなったりしてる……?」

「ねーよ」


あっさりだなぁ。
でもちょっとだけ、ほっとする。


「あたしと一緒に暮らしてくれて本当にありがとう」



「……、別に」



たわいもない会話が途切れかけて、なんとなく朱里くんを見上げた。


涼しい風が吹き渡って彼の黒髪が揺れる。


きれー、って見とれたとき。

鼻がむずっと……。


「……っ、くしゅ」


もう夜は冷えるんだなぁ……。

両肩を腕で抱きしめたとき。


「湯冷めするよ」



そう言って朱里くんはカバンからパーカーを出して、あたしの肩にかけてくれた。



「準備いいんだね……」


「9月の夜って冷えるじゃん」


「そっかぁ」



「何回夏を過ごせば学べんの?」



意地悪な声。

だけど。


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