【完】君に惚れた僕の負け。
あの日『僕の恋々を連れて行かないでぇ!』と恋々を抱きしめながら泣き散らかした記憶が、恋々に残ってないといいけど。


結局『まだずっと先の話だよ』と、慰められたっけ。



『ずっと先って、いつ?』


『恋々が中学か高校のころじゃないかなぁ』


『そんなに先なんだ……』


本当にずっと先だと思って、ほっとしたけど。



でもそのいつかはまだまだ来ないから~なんてのんきには思えなかった。
俺は現実主義だから。



そんな俺たちもあっという間に小学生。


俺は恋々のお父さんの日曜大工を手伝いながら何度も聞いた。


『恋々がひとりだけ日本に残ればいいんじゃないの?』


俺がそういうと『無理だよ』とおじさんは笑うんだ。



『恋々が自分で料理とか家のことできるとは思えないしなぁ。それに独り暮らしなんか危なくてさせられないよ。最近は悪い人だっているから』



この野郎……絶対に俺の恋々を連れていく気だな?


俺はイライラしながら、にこにこと木の板を抑え続けた。


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