【完】君に惚れた僕の負け。
「おじさん、さっさと恋々の本棚作ろうよ。恋々たち帰ってきちゃうよ。サプライズにするんでしょ?」


「そうだな!朱里くんいつもありがとうなぁ」


「ううん。僕は恋々とおじさんが喜んでくれるのが嬉しいから……」


「……ッ、朱里くん……っ!」


その後すぐに近所の空手道場に通い始めた。


小学生の俺は、ほぼ毎日掃除洗濯料理、二人暮らしで必要な能力を身につけるために家の手伝いを繰り返した。


俺の両親は『なんて良くできた息子なんだ』と涙を流して喜んでいた。



万が一恋々の行く進学先に偏差値が足りなくて入れないと困るから、勉強だって手を抜かず。



そうやっているうちに俺は『神童』と呼ばれるようになっていた。



でも俺は、恋々の父親という悪魔に恋々を連れて行かせるもんかって、


ずっと一緒にいたいって。



ただ、それだけだったんだけど。


< 263 / 421 >

この作品をシェア

pagetop