【完】君に惚れた僕の負け。
◇
今日も平凡な一日が終わった。
午後9時。
ソファに並んで、PAPA、MAMAマグに並々注がれたカフェオレをたまに飲みながらドラマを見ている。
CMと同時に現実に戻ってすぐ、隣にボケッと座っている恋々に寄りかかった。
柔らかな髪から香る甘い匂い。
女子ぃって感じ。
「……っ、朱里くん、重いよ」
「文句に聞こえない声してんな?」
「……」
ちょっと今までソファに押し倒しすぎたせいかな。
しゅーっと蒸気でもあがりそうなくらい赤面すんの。
とにかく、最近の恋々は、かわいすぎ。
愛しすぎてたまんなくて、恋々の真っ赤な頬にふわっと手を当てる。
そうするとすぐに首を縮こめる。でも拒んではこない。
「朱里くんほっぺ好きだよね……」
「恋々んの、もちもちして気持ちいいから」
「……っくすぐったいよ。もっとちゃんと触って……」
思わず頭の中で繰り返す。
――もっと、ちゃんと、触って?
お前はそういうこと言うから押し倒されんだよ?
「えっ、え?朱里くん、押さないでぇ……!」
なんもしないよ。からかってるだけ。
「やぁ……っん」
ね?
俺紳士だしね。