【完】君に惚れた僕の負け。
のんきに文化祭準備を繰り返すこと数日。
文化祭も前日と迫った今日、夜9時。
いつものように並々注がれたカフェオレ片手に、恋々とソファに並んで座っていた。
恋々のクラスは明日、コスプレ喫茶か。
「そういえば恋々の着るコスプレってなんなの?」
「え、見る?」
……突然楽しそうだな。
傾けられたスマホに軽い気持ちで目をむけた。
ブロンドの外国人モデルが着用しているそれを見て、俺の目は次第に見開かれていく。
……マテ。なんだこれは。
「かわいいでしょ!?」
じゃねーよ。
でもこれって、いかにも恋々が好きそうなデザインだな。
「はぁー……」
最悪な気分のため息を吐き出してから、俺ははっきりと言わせてもらう。
「ぜったいにこれは駄目」
「え!?なんで?」
なんでって。
なにこの赤い悪魔? なにがレッドデビルだよ。
太めの黒いリボンが締め上げる胸元は無防備だし、スカートは短いし、だいたい露出が多すぎ。
「いかがわしいんだよ」
「えー、だけど、みんなこれと似たようなデザインだよ?アリスとか、メイドとか、色が違うだけで……」
「人は人だろ。恋々にこんなの似合うわけない。着ぐるみでも着とけ」
「ひど……クラスのみんなはこれに賛成してくれたのに」
「あーばか。恋々のクラスの全員の頭かち割りたい」
「え?なんて言った?」