【完】君に惚れた僕の負け。
「ああもう、結べない……っ。自分でやるのと反対向きだからできないんだ!」



ちょっとここに座って、とソファに浅く座るように促された。



俺の背中とソファの間に入り込んだ恋々の手が後ろから伸びる。



「こうかなぁ……?」


俺の右肩の上から顔を出して確認する恋々。



この、ズルすぎる距離感。



ふわりとした髪から女子っぽい甘い香り。



いつの間にか息をするのさえ忘れていた。



心臓がうるさくて。



「うまくいかないなぁ」



わざとやってんのか疑いたくなる。


俺がいま横向いたらキスできそうな距離なんだけど。



なんでそんな平気でいられるわけ?



……まじでムカつく。


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