【完】君に惚れた僕の負け。
顔と、服と。
今どんだけあられもない姿にされてるかわかってんの?
「……馬鹿。少しは拒めよ」
そのくらいの余地あっただろ。
「……」
恋々は何も言えなくなったみたいに、真っ赤な顔して俯いた。
「顔あげて。その趣味の悪い服、縫ってやるよ」
貰った縫い針に赤い糸を通しながら言うと、
「……え、ぬ、縫うって?」
案の定恋々は戸惑っているけど、知らない。
テロっと光沢のある布地をきちんと合わせる。
「危ないから動かないで」
「……はい」
なに従ってんだか。
リボンがほどけただけで、まるで引き裂かれたのか疑うほど開いた胸元。
こんなもん、色気ゼロに縫い合わせてやるよ。