【完】君に惚れた僕の負け。
……昨日の文化祭で、楽しい思い出はたしかにたくさんできたはずなのに。
頭の中、朱里くんで埋め尽くされて一日が終わった。
ていうより、一夜が明けた今もずうっと頭から離れないの……。
ベッドから起き上がった頭が重い。
「……眠い」
深刻な寝不足だよ……。
とりあえずリビングでボーッとしてみる。
「恋々おはよー」
いつもとなんの変化もなく、あくびしながら登場した朱里くんに、思いっきりドキッとした。
「……おは、おはよ。……あ!お弁当当番だったの忘れてた……!」
朱里くんを見て思い出した!
「へぇ。まぁそれはいいんだけど。なに、寝不足なの?」
あたしはいつのまにか背の高い朱里くんの影の中。
彼の親指があたしの涙袋に触れた。