【完】君に惚れた僕の負け。
「クマすげー。なんで寝れなかったの?」
――にや。
まるであたしが眠れなかった理由を見透かしていそうなその顔は何なの……?
「おーい、聞いてますかー」
っ、ていうかね、近いの!
真っ赤になっているだろうあたしを、鼻で笑う朱里くん。
あたしはジンジン熱いほっぺを両手で覆い隠した。
「昨日の夜も、お前の態度すげー変だったもんな?」
朱里くんの楽しそうな笑みに、くやしいほど何も返せない……。
だって、首にキスする朱里くんとか、ちくちく縫ってる朱里くんとか。
全部全部よみがえってくるんだもん。
全部朱里くんのせいなんだって、弁解したくなる口をぎゅっと閉じて。
さまよい続けていたあたしの視線は朱里くんにピントを合わせる。
”なんでもお見通し”のような目が、再度答えを求めてきた。
「教えてよ。恋々は何に頭いっぱいで眠れなかったの?」