【完】君に惚れた僕の負け。
◇
「はぁ……」
お昼休み。大好きなメロンパンが喉を通らない。
出るのはため息ばかり。
「恋々ったら、重症だねっ」
教室で2つくっつけた机。
向かいに座るヒナが、うふふっと笑った。
それに続けてふうちゃんがからかうように言う。
「まだ朱里くんで頭いっぱいなのかよ?」
「……う」
「でも仕方ないよぉ。朱里くんって恋々への独占欲はんぱじゃないもん。あんなに強く好きって思われてたらドキドキもするよ」
……好き?
ヒナの言葉の一部に引っかかった。
「好きっていうのは……ちょっと違うと思うよ」
「えぇー?なんでそう思うの?」
ヒナが信じられないものを見る目で問う。
「だって……もちろんあたしのこと好きでいてくれてると思うけど、それは家族愛みたいな意味だもん」
あたしも、そうだし。