【完】君に惚れた僕の負け。




「はぁ……」


お昼休み。大好きなメロンパンが喉を通らない。


出るのはため息ばかり。


「恋々ったら、重症だねっ」



教室で2つくっつけた机。
向かいに座るヒナが、うふふっと笑った。


それに続けてふうちゃんがからかうように言う。


「まだ朱里くんで頭いっぱいなのかよ?」



「……う」


「でも仕方ないよぉ。朱里くんって恋々への独占欲はんぱじゃないもん。あんなに強く好きって思われてたらドキドキもするよ」



……好き?

ヒナの言葉の一部に引っかかった。



「好きっていうのは……ちょっと違うと思うよ」


「えぇー?なんでそう思うの?」


ヒナが信じられないものを見る目で問う。



「だって……もちろんあたしのこと好きでいてくれてると思うけど、それは家族愛みたいな意味だもん」



あたしも、そうだし。


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