【完】君に惚れた僕の負け。
「今日、俺ほんとツイてないわ」


そう言いながらソファの片隅にポイっとテレビのリモコンを放り投げた。



「なにか嫌なことでもあったの?」


「嫌っつうか、日直だったし、授業はしょっちゅう当てられるし、ドラマ潰れるし……あぁそうだ。コロッケパン」



「……コロッケパン」



「うまいっていう噂だから購買に買いに行ったら、ラスイチを目の前で取られた」



「それは悔しかったね……」



よしよし、と隣に座る朱里くんの頭を撫でる。


柔らかな黒髪が指に通って……


「……って!」


なにやってるのあたし!


思いっきり手を引っ込めたあたしは
まるで過剰反応。



「……ごめん、子供みたいなことしちゃった」



「いつもじゃん。いきなり謝られても」



……チクタクチクタク。


消えたテレビのせいで静まった部屋に時計の音だけが響いて。



ひぃぃー……。


ドキドキしすぎてわけわかんなくなりそう……。



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