【完】君に惚れた僕の負け。
ごほん、と咳払いして朱里くんは続ける。



「だからそんなに一生懸命コロッケ作ってくれたの?」


IHコンロのスイッチを停止させて、


朱里くんはあたしを静かに見下ろす。



その目は息をのむほど優しくて……だけど、呆れっぽくて。



「……そんな可愛いことしてさぁ」


朱里くんの手は、優しくあたしの頬を包むと



「例えば。例えばね?」



赤い唇が、あたしに念を押す。



「……なに?」




唾を飲み込むあたしに、朱里くんはにやり、口角をあげて言ったんだ。



「そんなかわいいことして、例えば俺が恋々を好きになっちゃったら。

その時はお前どーすんの?」



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