【完】君に惚れた僕の負け。
「……そっちのは?おいしい?」
おいしいよ。
途中で料理を投げ出したのに、文句ひとつ言わないで、仲直りしようって朱里くんが作ってくれたコロッケなんだから。
朱里くんのあったかさが、もっともっと、余計においしくさせるんだよ。
そんな朱里くんのことが、あたし、
「……好きすぎて止まらなくなりそう」
そう言った瞬間、朱里くんは驚いた顔して身を乗り出すんだもん。
思わず構えちゃったよ。
「そんなにうまいの?俺これ、途中からしか作ってないし、レシピ教えて」
「なんでメモろうとしてるの!?」
きょとんとした顔で朱里くんは答えた。
「だってそんなに好きなら、また作ってやりたいって思うだろ」
――ズッキューン。
……思わず胸を抑えた。
はぁもう朱里くんって人は……。
「……ばか」
「なんでだよ」
16.眠れない夜と君の気持ち
(せめて俺のこと恋愛対象に入れてくんない?)