【完】君に惚れた僕の負け。
荷造りは朱里くんのおかげで手際よくすんだ。


服もかわいく選んでくれた。


あとは下着と、それから。


「……だから、こういうのやめろって言ってんだよ!」


顔を赤らめた朱里くんがあたしのお気に入りの下着を壁に投げつけた。



「なんてことするの!?」


「普通のもってねーのかよ!」


「あるけど……テンションが……」


下がる。
ていうか普通ってなんだろう。


こういうの?
こういうなんの面白みもない下着のこと?


「こっちとこっち、どっちがいいかな」


「……見せなくていい。とにかく普通のを持っていけ。おやすみ」


――バタンッとドアが乱暴に閉じられた。



……途中で投げ出すなんてひどすぎる。


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