【完】君に惚れた僕の負け。
◇
そして翌日、修学旅行へと旅立つときがきた。
きっと涙の別れになると思ったのに朱里くんっていうひとは。
「充電器ちゃんといれた?」
「……うん」
「はいじゃあ気を付けてね」
頭ポンポン。
バイバーイって……あっさりすぎない!?
でも朱里くんがそうしてくれたから、あたしの寂しさも減ったのかもしれない。
飛行機でうとうとしていたらあっさりついた沖縄県。
夏みたいにあったかくて幸せ……!
沖縄の空気にテンションを持っていかれてそこらじゅうの生徒が大はしゃぎしている。
あたしも班員のヒナと天真爛漫女子のモモちゃんと三人で記念撮影にピース。
「もっかいとろー!」
「うん」
三人で角度をきめていたら。
「ほら、いけよっ!」
「押すな!うわっ」
カメラを構えたあたしたちの目の前に、押されたらしい男子生徒が派手に転んだ。
「だ、大丈夫?」
思わず手を差し伸べそうになったとき、気まずそうに男子は立ち上がって。
「あ……すみません。まじで押すなよ!」
「優紀、チャンス!」
うちの学校のほかのクラスの男子たちだと思う。
男子たちは優紀くんと呼ばれる転んだ生徒をにやにやしながら小突いていて。
……なんか楽しそうだなぁ。