【完】君に惚れた僕の負け。
「……ありがとう」
よかった、とりあえず受け取ってもらえた。
安心しながら顔を上げてみると、男子は片手でくちもとを隠すみたいにして視線をそらしていて……。
「え……」
なんでこの人、こんな赤くなってるの?
あたしも動揺するほど頬を真っ赤に染めている。
しんっとふたりの間に静寂が生まれたとき、後ろから男子の茶化す声がいくつか聞こえてきた。
「ぷは!優紀真っ赤じゃん!」
「ごめんねー。笑わないでやって!」
って言いながら男子みんな爆笑してるじゃん!
「うるっせぇよ!」
優紀くんというらしい男子に本当に申し訳なくなってきた。
だってあたしが余計なことしたせいでいじられ放題なんだもん。
ーー逃げよう。
「あの……本当にごめんね!」
ぺこっと優紀くんに頭を下げて、そそくさと女子の輪に戻った。