【完】君に惚れた僕の負け。
一日目を終えて、あとは部屋で自由時間。


ヒナとモモちゃんとのんちゃんという女子4人部屋でまったりしてる。



修学旅行は夜が一番楽しいなって思う。


「この袋切れないー!ねぇ誰かハサミ持ってない?!」


「あたしあるよ!」


「さんきゅー、恋々」


持っててよかったぁー。


「最悪、爪われたんだけど」


爪……。ガサゴソとポーチを漁ってみると、


「……!爪切りあった。絆創膏もあるよー!」


じゃーんと掲げてから手渡した。調子にはのってる。


修学旅行はテンションをおかしくさせるから。


「……今日の恋々どうしたの?」


「え?」


「なにかと準備良すぎない?」


そう言われてみればたしかに今日一日、珍しく人の役に立ってる気がする。


「……朱里くんが荷造り手伝ってくれたおかげかも」



かも、じゃない。絶対そう。

本当にしっかり者だよね、朱里くん。



「さっき言ってた幼馴染のことだよね?なんで荷造りまで……?」


「ん?」


「夏休みほぼ一緒にいたみたいにさっき言ってたけど」


「え?」


ヒナとモモちゃんが次々にそう言って、あたしにずいっと詰め寄った。


ひぇ!



「「……まさか朱里くんと、一緒に住んでたりする?」」


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