【完】君に惚れた僕の負け。
「幼馴染の彼の写真、見せてよ~」


モモちゃんににっこり言われてしまった。


「えっと……あ。そうだ。スマホの裏に差し込んであるよ」


くるっとスマホを見せると、近づいて見入るモモちゃんとヒナとその他同室の友達。


「あぁ!この人知ってる!部活の後輩が『一年に超イケメンがいる』ってよく言ってたの!」


モモちゃんがずばっと指をさした。


「へぇ……そうなの?」


朱里くんってやっぱりモテるんだ……。いや、知ってるけど。

ずううううん……。


「それにしても恋々、この貼り方ってふうちゃんにひどくない?」



ああ、それね。
ふうちゃんの写真が朱里くんの写真の下敷きになっちゃってるんだよね。


でもモモちゃん、あたしを責めないで。


「これ貼ったの朱里くんだから」


「へぇ?そうなの?」


「うん。あたしも完成したスマホ見たときは、ちょっと雑だなって思ったんだ」


「ちょっとではないね。だいぶ雑だよ」


「うん……だけど朱里くんが頑張って貼ってくれたものだから文句なんか言えないし、そのままなんだぁ」


そう言ってスマホを返してもらうと、女子全員が目を合わせあっていて。


その目配せは何?



「恋々さ、これ……朱里くんがわざとふうちゃんを潰したとかって考えはないの?」


モモちゃんが窺うように言うと、みんな似たようにうなずきながらあたしを見る。


「わざとって……朱里くんは確かに意地悪だけど、そういういじめみたいなことはしないよ!」


ぜったいしないよ!


「どうどう。怒らないで! そうじゃなくてぇ―」



モモちゃんが何か言いかけたとき。


「こらぁ!消灯時間はとっくにすぎてるわよ!」


いつの間にか部屋に侵入していたらしい、見回りの先生に突然怒鳴られて布団に飛び込んだ。

< 309 / 421 >

この作品をシェア

pagetop