【完】君に惚れた僕の負け。
ついに……朱里くんとの感動の再会の日がやってきた。


ドアに鍵を差し込むときには、そわそわしすぎて涙がでそうだった。



「ただいまぁ!」


玄関には朱里くんの靴がそろえられている。


……もう帰ってる。


リビングのドアをあけると、そこには。


「……朱里くん……」


会いたかったぁ……。



感動に立ち尽くすあたしに「どうした?」と朱里くんが近づいて、顔を覗き込んだ。



「……っ、ただいま」



そのまんまあたしは両手を広げて、かたい胸板に飛び込んだ。


ずっとこうしたかったぁ……。


――ぎゅう。


もう絶対離れたくない……。

そうまで思ってるこの懐かしい感覚。


小さいころは朱里くんと離れたくなくてこうやってくっついてたっけ。



「……な、なに?離せ馬鹿!」



こんなことぜったい言われなかったし、朱里くんもぎゅってしてくれたのに。


< 320 / 421 >

この作品をシェア

pagetop