【完】君に惚れた僕の負け。
「なに?」
「なにじゃねーよ。何この量?全部俺に買って来たの?」
「あと朱里くんの実家にも……ってたしかに多すぎた?」
「恋々の分は?」
「えっ……。あぁ、忘れちゃった……あは」
いや、いま髪を結んでいるシュシュとカバンにつけたハイビスカスの髪留めはみんなとお揃いで買ったけど。
見上げた先で、朱里くんは唖然としている。
「なんで自分のを忘れんの?」
本当だね。なんでだろう。
「お土産売り場にいくと朱里くんのことばっかり頭に浮かんじゃって……」
これ喜ぶかなとか。
そういうのが楽しくなっちゃって。
「……ばかなの?」
呆れっぽいため息を吐いた朱里くんのおでこが、こつんとあたしの頭にぶつかる。
ドッキンと心臓が跳ねあがった。
「……そういうの、俺どう捉えたらいいわけ?」