【完】君に惚れた僕の負け。
真っ赤になって縮こまっていると、朱里くんはあたしのスマホを手に取った。



ボケーッとした目が、スマホケースを眺めている。



そんなに見つめて、どうしたんだろ?



「……もうすぐクリスマスだなぁ」



ぼそっと呟いた声に「そうだねぇ」と返しながらココアを一口。



「町中うざいほどカップルだらけになるんだろうな」


ちょっと嫌味っぽい口ぶりだけど、朱里くんって……


「もしかして、クリスマスまでに彼女を作ろう、とかって思ってる?」



ふうちゃんはそう言って、合コンに繰り出していたけど。



「思うわけない」


「え、じゃあ……その。彼女は、いらないの?」


「彼女は欲しいけどね。別に急いでない」


そうなんだ……。
ってことは好きな人と今すぐどうこうしようって状況じゃないのかな。


ほっと胸をなでおろすと、朱里くんは笑いながらあたしの頬をつついた。



「……恋々は流されて彼氏作んなよ?」


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