【完】君に惚れた僕の負け。
突き放された気がした。
……関係、なんかないよ。
あたしはただの幼馴染なんだもん。
でもそんな言い方しなくたっていいじゃん。
涙がどんどん浮かんでくる。
唇をかみしめて俯くあたしの視界を、朱里くんの指先が問答無用で上を向かせた。
ゆらゆらする視界に入り込んだ朱里くんはあたしに詰め寄る。
「ちゃんと教えて。なんで俺が亜瑚を好きだと悪いの?」
亜瑚ちゃんのこと好きかどうか答えずに話を逸らす声は、なぜか上機嫌。
「もしかしてだけど、恋々のそれって……嫉妬?」
……嫉妬。
そうだよ。
でもなんで?
あたしはこんなに悲しいのに
なんで朱里くんは嬉しそうにそんなことを言うの?