【完】君に惚れた僕の負け。
「キス"くらい"って……。ふうちゃんの感覚ってどうかしてる……」



「高2にもなって、恋々はお子ちゃまだなぁ」



なでなで。

まるで園児でも撫でているかのようなわざとらしいその目……!



「ふうちゃんに話すんじゃなかった」



頬に空気がたまる。
もう少し共感してくれると思ったあたしが間違ってた!




廊下の窓から春の風が吹き込んだ。


ふうちゃんのベージュの髪が風に揺れて、整った横顔を見ていれば、モテる理由もわかる気はするんだけど。



「そうだ。キスよりもっとすごいことしたら、恋々もキス"くらい"って気持ちわかるようになるかもよ?」



いつのまにかふうちゃんの手が腰に回ってる。



「俺とやってみる?」



呼吸するより自然に抱きしめられてしまったあたしは「ひゃあーーー!」と叫んでその腕をひっぱたいた。


ばちーん。


「いったあー」と笑うふうちゃんは、見ての通り一円玉より軽い。



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