【完】君に惚れた僕の負け。
たとえばこういうふうちゃんと一年をすごしたけど、そういう密着するような距離感に慣れるかといえば別問題だよ。



そんなの、ぜったいに慣れるものじゃない……!



だから、あそばないで「私の恋々で遊ばないでくれる?」



あたしの心の声を代弁してくれた女の子に後ろからぎゅっと抱きしめられた。



甘いお花のような匂い。あ、落ち着くってこういうこと……。



「ヒナ」


細い腕をぎゅっとして返す。



鮎川ヒナちゃん。ふうちゃんと同じく去年から同じクラスの友達。



ショートボブで笑顔の可愛い女の子。



“私の恋々”なんて言っといて、しっかりと好きな人がいる恋する乙女。



「ふうちゃん、恋々に手ださないでよ!」



「本当にね、楓騎はもう少し場所を考えたら?」


ヒナの隣でそう言ったのは黒髪クールな池田くん。



実は、ヒナの片思いの相手。



ふうちゃん、ヒナ、池田くん、あたし。この四人はいつメンなんだ。


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