【完】君に惚れた僕の負け。
「朱里くんもどうぞ」


「俺は別にいらないんだけど」


「そっか」



悲しそうに目伏せてんなよ、馬鹿。


「……やっぱ食う」



恋々が引っ込ませかけたフォークを掴んで口に運んだ。


「うまいね」


「でしょ?あ、朱里くん、口のとこクリームついてるよ」



恋々が腰を浮かせて、手を伸ばした。


指先が俺の口元を拭って「とれたよ」とふわりと笑う。



どきんとしたちょうどその時、俺の視線の先にいる店員二人と順番に目が合った。



その目は死んでいた。


『リア充消えろ』みたいな。そんな目で。


「……すいません」



実際片思いだから許してください。



そう思いながら、はるか遠い目をしたくなった。



……こいつ本当に小悪魔だよな?



なんか俺も一瞬、付き合ってるような気になったもん。



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