【完】君に惚れた僕の負け。
あと三日で
朱里くんとの同居が終わるらしい。
通話を終えた朱里くんは「ふぅ……」とため息を吐いて、こっちに目を向ける。
「……寂しいの?」
あたしの涙をぬぐうあきれ顔。
「……ママもパパも一年ってて約束したのに……っ」
駄々っ子のように泣くあたしを、朱里くんは笑う。
「おばさん、向こうのご飯合わないんだって」
「あと三か月くらい我慢してくれてもいいのに……9か月も食べてきて何言ってるの?勝手すぎるよ……!」
ぼろぼろと涙が零れおちる。
こんなに突然朱里くんと離れなきゃいけなくなるなんて、思ってもみなかった。
「ママもパパも勝手に決めて、ひどいよ……!」
わっと泣き出すあたしに、朱里くんは深ーくため息を吐いた。
「……お前は本当に鈍感だよね」
「え?」
「おじさんもおばさんも、恋々が心配なんだよ。だからなんとか都合つけて帰ってくるって言ってんじゃん」
ぐずぐずと泣くあたしの髪をなでながら諭す朱里くんは、優しく笑う。
「わかってやろうよ」
どうしてそんなに大人になれるの。
なんでそんなにかっこいいの……。
朱里くんに言われたら、素直に受け止めなきゃって思っちゃうよ。