【完】君に惚れた僕の負け。
「……あと三日」
「うん。あと三日は一緒だろ」
「寂しい……」
「一緒に住む前に生活戻るだけじゃん。大丈夫」
未だ大粒の涙がとまらないあたしを、朱里くんがふわりと抱きしめた。
「大丈夫。なんも変わんねーよ」
トントンと優しい振動が背中に伝わる。
……何も変わらないわけがないよ。
あたしは、朱里くんを好きになった。
だから、前よりずっと離れたくなんかないって思いが強いのかな。
……朱里くんといたいよ。
だけど、そう思ってるのはあたしだけみたいだ。
だって、朱里くんは平然と笑っているんだから。
「泣きながら年越しないように、今のうちに泣いとけ」
あっけらかんとした声の中、あたしは朱里くんの胸にしがみついて泣いた。