【完】君に惚れた僕の負け。
「元気出せよ。屋台のタコ焼きでも食う?」
「散々笑っておいて元気だせって……もう」
でもたこやきは食うんだよな。
神社を出てもまだ言ってんの。「凶なんて最悪……どうしよう」って。
どうもなんねーよ、ばか。
でも恋々はアホだから。100円で引いたお手軽なおみくじに重たいもん背負わされてるから。
「……今年一年は凶かぁ」
まじ笑えんな。
「あれ?朱里くん帰り道こっちだよ?」
「寄り道しよ」
「ふぅん」
のんびりと歩く冬の道。
冷たい風に身を縮める恋々は、ホッカイロをとりだして両手でもんでいる。
「いる?」
恋々に差し出されたホッカイロを受け取るわけもなく。
「……一緒にね」と俺はホッカイロ越しで恋々と手を繋いで歩いた。
「……っ」
……なんで黙んの。
変な空気。
握ってるホッカイロが熱いくらいなんだけど。