【完】君に惚れた僕の負け。
そうしているうちにたどり着いたのはさっきより大きい神社。


「……また神社行くの?」


「もっかいおみくじ引けば?」


「え!……そのためにここまで?……優し」「また凶がでたら死ぬほど笑ってやるよ」



被せ気味に言ってニヤリと笑う俺と、むっとする恋々。



「もー!朱里くんのばか!」



そうその調子。元気出して。


「引かねーの?」


「……引く。けどまた凶だったら怖いなぁ……」


「……プ。くく」


「引く前から笑わないで!」


もしも凶が出たら、また別の神社で引き直せばいいよ。


上機嫌になるまでつきあってあげる。


マンションへの帰り道の恋々は、至極ご機嫌だった。


ほわわーんとした笑顔満開の、アホ面を横目で見る。


ほんと単純。ちょっと引くわ。



「すごいよね。あたしと朱里くん、同じ中吉を引いて内容も全部一緒なんて!」


「それもう一億回聞いた」


耳にタコ。てかそんなに喜ぶこと?



「恋愛のところ、“一途な愛は報われる”だって!」


「へー」



だといいですねー。



俺は遠い目をしたまま青く澄んだ空を見上げた。


「……はぁ」


空っぽになっていくみたいだ。



もうすぐ、同居生活が終わる。




20.カウントダウン
(あと、たった2日)
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