【完】君に惚れた僕の負け。
……明日、パパとママが帰ってくる。


「じゃあ、おやすみ」

「おやすみ」


パタン、と朱里くんの部屋のドアが先に閉まった。


毎日繰り返してきた日常が、今夜で終わるんだ。



真っ暗な部屋で、ベッドに潜って天井をただ見上げる。



――なんにも変わんねーよ。



朱里くんが言ってた通り、変化なんてたいしたことないはずなの。



以前のように徒歩五分の距離に朱里くんが戻るだけ。



でも一緒に住んでたら、朝起きたら「おはよう」って言えて。


失敗しながらご飯作って、一緒に食べて、料亭みたいなお弁当作ってもらって。


家に帰ると、大きなスニーカーが揃えてあって。


「ただいま」っていえば、朱里くんが「おかえり」って返す。



ただの日常を思い出すだけで、涙が止まらなくなった。


寂しい。

寂しくて仕方ない。



朱里くん……。離れたくないよ。


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