【完】君に惚れた僕の負け。
「何言ってんの。離れるっていっても、たかが徒歩5分だろ」


「でも今までは1秒だったもん……」


「贅沢言うね。俺は5分で大満足だよ」


「大満足……!?」


そう言い切られてしまうと悲しい。もっと寂しがってほしいよ……。



半分拗ねかけたとき、朱里くんは優しい声で言った。



「だって恋々がバンクーバー行くわけじゃないじゃん」


「……うん」



「海外に行かれるのと比べれば全然いい」



よどみない声に、心臓がとくんと波を打つ。



「……そっか」



嬉しくて、恥ずかしくて、照れくさくて。そんな気持ちでいっぱいになる。


はにかんだら、涙が横につたった。


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