【完】君に惚れた僕の負け。
ひくっとあたしの肩が上がった。


「ごめん。なんて言った?しゃっくりで聞こえなかった」


「しゃっくり……?」



信じられないものを見たような目があたしに向いている。


「う、うん。ごめん」


泣いた後ってでやすいでしょ?


ってなんでちょっと不機嫌なの?



「……今すぐそのしゃっくり止めろ」


「え……でも。止め方わかんない」



って言っているうちに、またしゃっくりで体が揺れる。


朱里くんに怒られるから止まってー!


「しゃっくりっていうのはさぁ」


「え?」


「ドキドキしたら止まんじゃねーの?」



いつの間にかあたしに覆いかぶさっていた朱里くん。



向かい合う彼と、目が合っている。


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