【完】君に惚れた僕の負け。
朱里くんとの会話なんてお構いなし、ふうちゃんが叫んだ。



「あ、やべ。俺バイト間に合わないかも!」



ふうちゃんがスマホの時計を確認するや否や、あたしの腕をがしっと掴んだ。



「え?」


「走んぞー!」


「なんであたしまで!?」


「ひとりで電車は寂しいじゃん!」


「さみしくなぁーいー!」



ふうちゃんについてなぜか全力ダッシュさせられたあたしの背中に「恋々!」と呼ぶ声が聞こえたような聞こえなかったような……って。



そんなことどうでもいいほど疲れたぁ……っ。


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