【完】君に惚れた僕の負け。
ママの声を背に受けて、あたしは走った。


徒歩5分。走れば3分。


朱里くん今、家にいるかな。


もしかして出かけちゃったかな?


膨らんでいく会いたい気持ちによけいに急かされて足がもつれた。


――ドシャ。


「いったぁ……」


派手に転んだけど、なりふり構っていられない。


はやく。もっとはやく。


地面を蹴る。


朱里くんの家が見えてきた。


「朱里くん!」


大声で叫ぶと、二階にある朱里くんの部屋から顔を出してくれた。


……いた。


「来たの?待ってて。今降りんね」


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