【完】君に惚れた僕の負け。
そんな俺に恋々は勇気を振り絞った声で言った。



「あたしと……結婚してください!」



空からトンビの鳴き声、畑を耕すくわの音。


それらに邪魔されるわけもなくはっきり聞こえた。



――今、こいつ、結婚って言った?



時間とともに理解して、笑けてくる。



「……ははっ、お前ぶっとばすね」


「なんで笑うの!?」



腹がよじれるほど笑ってるのはね。



「……嬉しいからに決まってんだろ」




緊張なのか震えている小さな体を、抱きしめるのは今度は俺の番。



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