【完】君に惚れた僕の負け。
「……あの、朱里くん……返事は?」
なんでそんな自信なさげにいうのかな。
どんだけ俺がお前を好きか……。
まぁこいつには察しろなんて無理か。
「それは一旦おいておいてさ」
「ほ……保留?」
16年間、待たせたお前がこの程度で保留とか言って泣きそうになるなよ。
ちょっと待ってろ。そんで、しっかり聞いてて。
「……たとえば。恋々がバンクーバーに引っ越すことになったときね」
「いきなりなんの話なの……」
黙って聞いて。知ってほしいから。
「……恋々が日本に残るって話になったら、恋々んちでふたりで同居より、まず第一の案で俺の実家に恋々を呼ぶと思わない?その方がいろいろ安全だし楽だろ」
「……!たしかに……!」
目からうろこしてんなよ。
「その第一の案はね、俺がうまいこと言ってつぶしたの。なんでだと思う?」
「……ええっと?」
分かれよ。
俺はふたりきりで暮らしたかったの。
そのために小さいころから積み上げて、恋々の気持ちもやっと今掴んだの。
そんくらい本気で。人生かけて。
「お前が大好きだからに決まってんだろ」