【完】君に惚れた僕の負け。
地下3000階くらいまで落ち込んでから服を着てリビングに行くと、朱里くんはすまし顔でテレビを見ていた。



「……ねぇ、見たよね?」



生気のないあたしの声に「こわ」って返す朱里くんの視線は未だテレビ。




通販番組ってそんなに真剣に見るものじゃなくない?



「……とにかく。全部忘れて!」



……っ。恥ずかしい……。



顔を両手で覆った。




そんなあたしに朱里くんは「はぁー」と大きなため息をついた。



なにそのため息?




俺だってそんなもん見たくなかったって言いたいんでしょ。



そう思ったら謝られた。



「まぁごめんね」



「まぁってなに……“まぁ”って」



ていうより。




あの下着を見られるなんて……ない。ありえない……っ。



あんなの体を見られるより恥ずかしいよ……!



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