【完】君に惚れた僕の負け。
だって、ああいう下着ってかわいいんだもん。



下着なんて自分しか見ないし、多少派手でもすきなものを買ってたの。



ああもう!



弁解させて!



お願いだから嘘つかせて!



「あの……さっきの下着はあたしの趣味じゃないから!」




――ええ!?そうなんですか!そんなにお安くて大丈夫なんですか?


通販番組うるさいなぁ!



「あーね。だいぶ背伸びしてたな?」



――おぉ、これはすごいですねぇ!



朱里くんがテレビの音量を下げた。



「つーかお前の下着なんか見たくも」



――こんなチャンスめったにありません!



ぶち。
朱里くんがリモコンの電源ボタンを連打しながらテレビに向けて消した。




「……てか、あれは反則じゃね?」



「え?」



「要らないんだって。そういうギャップ」



朱里くんは天井を仰いで遠い目をしている。



「 一、十、百、千、万、億、兆、京、垓、𥝱、穣、溝、澗、正、載、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数」



「どうしたの朱里くん?」



「精神をね、整えてんの。奇妙なものをみてしまったから」



奇妙でわるかったですね……!



わなわなと震えかけたとき、朱里くんの目があたしに向いた。

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